2023年04月25日
〈事務局日記〉0399:講演録発行
写真@:発行された『藍の家120歳!』記念講演講演録の表紙
〜津屋崎千軒民俗館「藍の家」築120年祝う〜
『藍の家120歳!』記念講演講演録が発行されました
福津市津屋崎4の津屋崎千軒民俗館「藍の家」が築120年になったのを祝い、令和4年に行われた二つの記念講演会(主催・藍の家、福津市)の内容をボランティア団体・藍の家保存会(古閑由美代表)が中心となって編集、収録した『藍の家120歳!』記念講演講演録(A4判、61n)=写真@=が令和5年3月、福津市から発行され、「海とまちなみの会」事務局にもいただきました。
藍の家は、明治34年(1901年)に建てられた染物屋(紺屋)・五代目上妻善兵衛氏の2階建て住宅。白漆喰塗り込め壁に格子戸など当時の町屋形式の特徴を伝えています。取り壊しが持ち上がった平成6年(1994年)に旧津屋崎町街並み保存協議会の保存運動で、上妻家が建物を旧津屋崎町(現福津市)に寄贈しました。平成19年(2007年)には、江戸時代から海上交易で栄えた〈津屋崎千軒〉の面影を残す建造物として、国登録有形文化財になり、現在は福津市が管理し、藍の家保存会(「津屋崎千軒 海とまちなみの会」会員)の運営で、地域の文化交流の場として活用されています。令和3年(2021年)で築120年になったのを祝い、記念講演会(入場無料)を「藍の家」座敷で2回開催、「海とまちなみの会」会員や多くの市民が聴講しました。
最初の講演会は令和4年3月19日、講師に招かれた山田由香里・長崎総合科学大学工学部教授(日本建築史)が、「古くて新しい、藍の家再発見!」の演題で講演。山田教授は平成18年(2006年)、初めて訪れた「藍の家」を国登録有形文化財とするよう福津市に提案、同文化財登録申請の建物所見を執筆し、「藍の家」の同19年(2007年)の有形文化財登録に大きく貢献されました。講演では、藍の家の建物の魅力について「2007年に一目見て、素敵な建物だと思いました。その時、藍の家は105歳でした。それから15年経って120歳を迎えられたということは、人間の還暦を2回することなので、すごいことです。祇園祭りの山笠が見られるように外される1階の格子戸や、欄間の近江八景の彫刻、2階の火に強い漆喰壁、長さ9mの松の梁など外観、構造も素晴らしい。古いけれども、新しいまちづくりができる建物です」と熱心に語られました。
2回目の講演会は4月23日、藤原惠洋(ふじはらけいよう)九大名誉教授(建築史)を講師に招いて開催。藤原講師(大分県竹田市文化振興財団理事長、前文化審議会世界文化遺産部会委員)は「私たちはどこからきて、今どこにいて、これからどこへ行くのか」〜津屋崎千軒、藍の家をめぐるまちづくり先達との出会いと路上物語〜の演題で話されました。
藤原講師は、上妻家住宅が旧津屋崎町(現福津市)に寄贈され「藍の家」として保存津屋崎町街並み保存協議会の原田活男会長(津屋崎人形師)と事務局を務めた柴田治さん(美術教師)の力が大きい、と説明。「二人は、人形作り、絵を描くという、物を生み出す人、クリエーターだった。津屋崎の地域固有資源の拠点である歴史的建物を保存、活用する藍の家の取り組みは、市民の社会的合意によるまちそだてのお手本。これからどこへ行くのか、30年後に向けた持続可能なまちそだてのあり方が大切です」と、聴講の多くの市民に呼びかけられました。
講演後、市民たちは藤原講師の解説付きで津屋崎千軒を巡る「まちあるきワークショップ」も参加、波折神社や豊村酒造別荘の茶室見学などを夕方まで満喫。参加した「海とまちなみの会」事務局会員も、建物の由来やまち全体の物語を解き明かす“建築探偵”を標榜される藤原講師の唯一無二の津屋崎千軒フットパスとして楽しめました。
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